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AI-OCRで請求書処理を効率化|紙中心の会社が選ぶ選定ポイント

AI-OCRによる請求書処理を、まだ紙中心の会社が最初に着手すべき領域として解説します。従来OCRとの違いと導入効果、失敗しない選定5ポイント、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応まで、中小企業の実務目線で整理しました。

AI-OCRで請求書処理を効率化|紙中心の会社が選ぶ選定ポイント

「毎月、届いた請求書を1枚ずつ見ながら会計ソフトに手入力している」「紙とPDFが入り混じり、月末は処理に追われる」。こうした悩みを抱える中小企業は少なくありません。この記事では、AI-OCRによる請求書処理を、まだ紙中心で業務を回している会社が「最初に着手すべき領域」として取り上げ、導入で失敗しないための選定ポイントを中心に解説します。なぜ請求書処理から始めるのが効果的なのか、AI-OCRで何が変わるのか、そしてツールを選ぶときに見るべき5つの視点までを実務目線で整理しました。読み終えるころには、自社に合うツールを見極める判断軸が手に入るはずです。

なぜ請求書処理のAI-OCRが「紙の会社」の最初の一歩なのか

紙の請求書処理に追われる中小企業の担当者

AI導入を考えたとき、紙中心で業務を回してきた会社ほど「どこから手をつければいいのか」で立ち止まりがちです。結論から言えば、請求書処理は最初の一歩に最も向いた領域です。理由は3つあります。1つ目は、請求書が毎月必ず発生する定型的な業務であること。2つ目は、記載される項目(日付・金額・取引先・品目など)がある程度決まっていて、AIが読み取りやすいこと。3つ目は、手入力の削減という効果が数字で見えやすいことです。業務全体をいきなり変えるのは難しくても、請求書という一点に絞れば、無理なく成功体験を作れます。

さらに、制度面の変化も後押しになっています。2024年1月から、メールやクラウドで受け取った請求書などの電子取引データは、電子のまま保存することが義務化されました。事業者の規模を問わず対象になります(三井住友カード)。紙に印刷して保管する従来のやり方が原則認められなくなったいま、請求書のデータ化は「やった方がよい」から「避けて通れない」テーマへと変わりました。AI-OCRは、この電子化の入り口をぐっと楽にする道具だと考えると位置づけが見えてきます。

AI-OCRとは|従来OCRとの違いと請求書データ化の流れ

書類をスキャンしてデータ化するイメージ

AI-OCRとは、文字を読み取ってデータに変換するOCR(光学文字認識)に、AIの技術を組み合わせたものです。従来のOCRは、あらかじめ登録したパターンに沿って文字を判定するため、決まった位置に印刷された活字は得意でも、手書きやレイアウトが不揃いな書類は苦手でした。これに対しAI-OCRは、機械学習やディープラーニングを活用することで、活字はもちろん、クセのある手書き文字やファクスで届いた文書、フォーマットの異なる請求書でも読み取れるようになっています(LINE WORKS)。取引先ごとに請求書の様式がバラバラな中小企業にとって、この違いは大きな意味を持ちます。

請求書処理でのデータ化の流れは、おおむね次のとおりです。まず、紙の請求書をスキャナーやスマートフォンで取り込みます。次に、AI-OCRが画像から文字を識別し、日付・金額・取引先名・登録番号といった必要な項目を抽出します。最後に、抽出したデータをCSVや会計ソフトへ連携して、仕訳や支払処理につなげます。人が担っていた「見て、打ち込む」という作業を、AIが肩代わりするイメージです。ポイントは、単に文字を読むだけでなく、どの数字が金額でどれが日付かを判断してデータの形に整えてくれるところにあります。

請求書処理にAI-OCRを導入する効果

データ化により効率的に働く経理担当者

AI-OCRで請求書処理を自動化すると、主に3つの効果が期待できます。

1つ目は、入力時間の削減です。1枚ずつ手打ちしていた作業がなくなり、担当者は読み取り結果を確認するだけで済むようになります。月末に集中していた処理が平準化され、経理担当が本来やるべき資金繰りの管理や分析に時間を回せるようになります。2つ目は、転記ミスの削減です。人の手入力には、金額の桁違いや取引先名の打ち間違いがつきものですが、AIが読み取ってデータ化することで、こうしたヒューマンエラーを減らせます。

3つ目は、保管と検索の負担軽減です。請求書を電子データとして保存すれば、キャビネットを占領していた紙のファイルが不要になり、保管スペースを削減できます。あわせて、「いつ・どの取引先の・いくらの請求書か」ですぐに検索できるようになるため、過去の書類を探す手間も大きく減ります。データで扱えることは、出社しなくても処理を進められるテレワークのしやすさにもつながります。紙の会社ほど、この3つの効果を実感しやすいはずです。

失敗しないAI-OCRの選定5ポイント

ツールを比較検討する経営者と担当者

AI-OCRは製品の種類が多く、選び方を誤ると「思ったほど読み取れない」「既存の仕組みとつながらない」といった失敗につながります。中小企業が請求書処理で選ぶ際に押さえたい5つのポイントを挙げます。

  1. 自社の請求書での実測精度: カタログ上の精度ではなく、実際に自社に届く請求書で試すことが最も重要です。定型的な請求書は多くの製品が問題なく処理できますが、手書きや非定型のフォーマットが混じると製品間の差が大きく出ます(デジタルの窓口)。無料トライアルやデモで、普段扱う書類を通して確かめましょう。
  2. 会計ソフト・既存システムとの連携: 読み取ったデータをCSVやAPIで会計ソフトへ渡せるかを確認します。連携ができないと、結局手作業でデータを移す工程が残り、効果が半減します。
  3. 料金体系と処理枚数の相性: 月額固定型と処理枚数に応じた従量型があります。幅広い帳票を扱う汎用型は固定費が高めで、請求書に用途を絞るなら特化型のほうが安く精度も出やすい傾向があります(Uravation)。自社の月間処理枚数と照らして選びます。
  4. セキュリティと法令対応: 請求書には取引情報が含まれます。データの保管場所や暗号化の仕組み、後述する電子帳簿保存法への対応可否を確認します。機密性が高い場合は、オンプレミスや閉域網に対応した製品も選択肢になります。
  5. サポート体制と運用のしやすさ: 読み取り結果の修正がしやすいか、オペレーターによる確認オプションがあるか、導入時に相談できる窓口があるかも、定着を左右します。

これらを優先順位をつけて比べることが、選定の失敗を防ぐ近道です。まずは1と2を必須条件として絞り込むとよいでしょう。

導入前に押さえる注意点|精度・電子帳簿保存法・インボイス制度

保存要件やルールを確認する経理担当者

導入で後悔しないために、事前に押さえておきたい注意点が3つあります。

1つ目は、読み取り精度は100%ではないという前提です。活字は高精度でも、かすれた文字や手書き、複雑な明細では読み取りを誤ることがあります。そのため、AIが読み取り、人が最終確認するという工程を必ず残す設計にしてください。「全部AIに任せて確認不要」にすると、誤ったデータが会計に紛れ込むおそれがあります。

2つ目は、電子帳簿保存法への対応です。電子で受け取った請求書を電子保存する際は、改ざんを防ぐ「真実性の確保」と、検索・表示できる状態にする「可視性の確保」が求められます(三井住友カード)。ツールがこれらの要件に対応しているかを確認しておくと安心です。3つ目は、インボイス制度との関係です。仕入税額控除を受けるには、取引先から受け取った適格請求書(インボイス)の保存が必要で、その保存期間は約7年とされています。電子データで受け取ったインボイスは、電子帳簿保存法に沿って保存する必要があります(請求ABCBtoBプラットフォーム)。制度の詳細や自社での対応要否は、顧問税理士とあわせて確認することをおすすめします。

まとめ

紙中心で業務を回してきた会社にとって、AI-OCRによる請求書処理は、AI活用の最初の一歩として最適な領域です。請求書は毎月発生する定型業務で効果が見えやすく、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応という後押しもあります。導入を成功させる鍵は、ツール選びにあります。自社の請求書での実測精度・会計ソフトとの連携・料金体系・セキュリティと法令対応・サポート体制という5つのポイントを優先順位をつけて比べ、無料トライアルで確かめてから決めましょう。そして、読み取り結果は人が最終確認するという線引きと、電帳法・インボイス制度への対応を忘れないことが大切です。まずは、月に最も多く届く取引先の請求書1種類から試してみてください。

「自社にはどのAI-OCRが合うのか」「請求書処理から始めて、経理業務全体をどう効率化するか」は、外部の視点があると判断が一気に進みます。株式会社オモイカネでは、中小企業のAI活用にあたり、業務の棚卸しからツール選定、電子化にともなう運用ルールづくりや社内での定着支援までを伴走してご支援しています。支援内容はサービス紹介でご覧いただけます。ご相談やお見積もりはお問い合わせから、お気軽にお寄せください。

参考ソース